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2/1・2/2 実技講座「水彩で描く 風景画の世界を旅する講座」

 

 

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2月1日(土)・2月2日(日)の2日間、収蔵品展「西洋の風景画」関連講座として、「水彩で描く 風景画の世界を旅する講座」が開催されました。皆様は「風景画」と聞くと、どのようなイメージを持たれるでしょうか?山や川や街が描かれていたり、その中に樹木や建造物や人々が描かれていたり…風景画のモチーフとして想像出来るものは、私たちの身近な所に広がっているのではないかと思います。今回は風景画の展覧会を鑑賞した後に、私たちにとって身近な画材の一つである水彩絵の具を使って、静岡県立美術館周辺の風景を描きました。1日完結の講座として、2日間で計20名以上の方にご参加いただきました。

 

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今回は「西洋の風景画」関連講座ということで、初めに収蔵品展「西洋の風景画」の鑑賞が行われました。今回の展示では、静岡県立美術館が数多く収蔵している風景画作品の中から、17世紀以降の西洋の風景画が展示されました。作品のご解説をしていただきましたのは、今回の展覧会をご担当された、当館学芸員の新田さんです。

西洋の風景画は一体どのように描かれているのでしょうか?今回はその風景表現に焦点を当てて解説をしていただきました。1630年代後半に描かれたとされる、クロード・ロランの風景画≪笛を吹く人物のいる牧歌的風景≫の例では、中央の大きな木と、その下に集まる人々や手前で草を食む家畜の姿が最初に目に飛び込んで来ます。そのままじっくり見ていると、その周囲の草原の様子や後ろにある建物なども見えてきます。更によく見ていくと、遥か後方に遠くの山の景色などが描かれていることに気が付きます。このように、風景画の構図は大きく3つに分けることができ、作者の意図で見る人の目が自然と誘導されるように描かれているそうです。

 

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今回の展覧会では、パウル・クレーによる不思議な風景画作品も展示されました。パウル・クレーの≪ホールC.エントランスR2≫という作品は、建物やその柱のような物が描かれていますが、その遊びのある空間表現が非常に独特とのことです。色彩と格子で表現された世界は、見る人によって空間を様々に捉えることができます。このように、風景表現は作品によって様々なようですが、全体を通して「作者が自分の見せたいように作品を作っている」と言えるそうです。参加者の方は時々質問なども挟みながら、学芸員の新田さんの解説を大変興味深そうに聞いていらっしゃいました。

 

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鑑賞後は実技室に戻り、今回講師としてお越しいただいた好宮佐知子さんより、自己紹介をしていただきました。また、スライドを使ってこれまで制作された風景画の作品などもご紹介いただきました。

 

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好宮さんは、普段日常の中で目にした光景を記憶を頼りに描かれているそうで、水彩絵具、水彩ガッシュの他、フレスコによる風景の作品などを制作されているそうです。窓をテーマにした作品も数多く制作されており、柔らかい光の表現や、優しいタッチで描かれた作品の数々がとても印象的でした。好宮さんはご自身の作品を紹介しながら、今回は気になった光景や美しいと思った風景を、自分の素直な感覚と向き合いながら描いてみてほしいとお話しされました。

 

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好宮さんによるご紹介の後は、スケッチ用紙と鉛筆を手に風景のスケッチへ出発です!幸い2日間とも好天に恵まれ、外でスケッチをすることができました。美術館のエントランスを出てすぐの広場では、さっそく美術館からの眺めを描いている方がたくさんいらっしゃいました。普段見慣れているはずの光景も、改めてよく観察してみると、新しい魅力に出会うことができます。

 

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美術館の2階入り口へと続く外階段からの眺めをスケッチしている方も多くいらっしゃいました。好宮さんもご一緒に美術館周辺を散策しながら、参加者の方にお声掛けをして回りました。景色の中で気になった部分をクローズアップして見てみると…曲がりくねった木の枝や水面の揺らめき…そんな光景も、いつもより面白く見えてくるかもしれません。

 

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移動しながら色々な風景を描いて回っている方や、一か所に留まってじっくり描いている方まで様々です。特に2日目の日曜日は美術館周辺の人の往来が多く、それも風景の一部としてスケッチしている方が多かったです。また、静岡県立美術館の周りは自然が多く、運が良ければ野鳥や動物に出会うこともあります。タイミング次第では、そんな偶然の出会いを風景画の中に描くのも楽しいですね。

 

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移動範囲に特に制限はないので、プロムナードの入口付近や芝生広場、更に下った所にあるお店の近くまでスケッチに出かけた方もいらっしゃいました。予め何となく描きたい風景をイメージされて来た方も多かったようです。

 

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お昼休憩を挟み、午後からは実技室で風景画制作のスタートです。今回は、画用紙の水張りの必要がないイラストレーションボード(F4サイズ)に描きます。水彩絵の具の中にもいくつか種類がありますが、今回は不透明水彩、透明水彩、そしてその中間程度と言われるサクラマット水彩などを使って描いていただきました。不透明水彩は、下の色の上から別の色を重ねて描いていく事が得意な絵の具です。一方透明水彩は、色を重ねても下の色は透けて見えるのが特徴です。

 

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スケッチを元に、鉛筆で軽く下描きをしてから水彩で描いていきます。参加者の方の制作を見守りながら、講師の好宮さんがお一人ずつ、丁寧にアドバイスをして回られていました。

 

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画材に慣れている方はどんどん描き進めていました。今回、水彩絵の具はそれぞれご持参いただきましたので、参加者によって絵の具の質感も少しずつ異なっているように感じました。

 

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「西洋の風景画」展鑑賞時の解説で、見せたい部分は細かく描き込み、そうでない部分はあっさりと描いている…という説明がありました。絵の中のどの部分を自分が見せたいかによって、描き込む必要のある部分も変化します。

 

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実際の風景をそのまま描いてみたり、組み合わせてみたり、色だけアレンジしてみたり…皆様それぞれの「描きたい!」が風景画の作品に表れていました。

 

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約3時間の制作時間で、素敵な風景画が完成しました!講座の最後に、全員の方の作品を並べて、感想会を行いました。すべて静岡県立美術館周辺の風景がモチーフとなっていますが、どこを描いた作品か分かるでしょうか?外の風景だけでなく、美術館の中にある風景を描いた方もいらっしゃいました。

 

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ずっと気になっていた美術館の作品を描いたという方も。

 

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木の表現を見比べてみても、筆のタッチがそれぞれ違っていて味わい深いです。

 

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水彩の柔らかい濃淡が、風景画の中に空気間を生み出していますね。

 

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2日間とも、プロムナードの並木の景色を選んで描いている方が多めでした。「西洋の風景画」展の中に、ジャン=バティスト・カミーユ・コローによる≪メリ街道、ラ・フェルテ=ス=ジュアール付近≫という道を描いた作品が出品されましたが、画面の奥へと続く道の表現が、どこかその雰囲気に似ているようにも感じられます。

 

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構図にもそれぞれの「描きたい!」が詰まっています。同じ景色でも、他の人の目を通して見てみると、全く違って見えているのがとても面白いです。

 

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今まで風景画についてよく知らなかったという方も、描いた経験のある方も、今回の講座で更に風景画に対する知識を深めていただけたのではないでしょうか?また、今回講師をご担当いただいた好宮さんには、講座終了まで大変丁寧にご指導をしていただきました。2日間ご指導いただき、本当にありがとうございました!

静岡県立美術館では、風景画の収集を一つの方針に、作品を数多くコレクションしております。風景画の展覧会の際には是非また足を運んでいただき、風景画の世界を楽しんでいただけましたら幸いです。

 

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1/12 わくわくアトリエ「機械と朗読」

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1月12日(日)、「やなぎみわ展 神話機械」関連ワークショップとして「機械と朗読」が開催されました。ワークショップでは、アートと機械の融合した出品作品《神話機械》のマシンたちの運動に合わせて、参加者が自らの声で朗読を行いました。《神話機械》は、音響と照明で自律的に演劇を行う、マシンの作品です。4台のマシン作品の動きに合わせて、シェイクスピア「ハムレット」の1シーンなどの台本を朗読し、マシンと人が協力して演劇を生み出す新たな試みに挑戦しました。

 

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本ワークショップは、やなぎみわさんご本人によるご指導の下行われました。この大変貴重な機会に、遠方からお越しになった参加者の方もいらっしゃいました。

 

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先ずは当館実技室にて、やなぎみわさんや「やなぎみわ展 神話機械」を担当された当館学芸員の植松さんより、ワークショップの説明や講師紹介が行われました。朗読の為の台本となる資料なども参加者へ配布されました。

 

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展覧会の会期中は、1日3回マシンによる無人公演が行われました。この日も11時から第1回目の無人公演が行われ、参加者もマシンたちによる約15分間の演劇を鑑賞しました。ワークショップ当日に無人公演を初めてご覧になった方が大半で、午後の朗読本番への緊張感を高めながら鑑賞されているようでした。

 

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「神話機械 Myth Machines」には、4台のマシンが登場します。それぞれギリシア神話に登場する女神の名前が付けられており、音響や照明を司るメインマシンには、「タレイア」の名が付けられています。≪タレイア(メインマシン)≫はプログラミングにより自律的に舞台上を動き回ることが出来ます。本来はこのメインマシンが言葉や音楽を発しますが、朗読の本番時には≪タレイア(メインマシン)≫は動作と照明のみで音は一切発さないようにし、代わりに参加者が声を当てる事で演劇を完成させます。その他、音などに反応して振動する≪テルプシコラー(振動マシン)≫、人の手脚の形をした≪メルポメネー(のたうちマシン)≫、頭蓋骨を壁に投げ付ける≪ムネーメー(投擲マシン)≫などが共演します。

 

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11時からの無人公演を鑑賞後、実技室に戻り朗読の練習がスタートしました。先ずは、配布された「ハムレット」の1シーンなどが書かれた台本を元に、自分の演じる内容を決めます。今回は用意された台本をそのまま朗読するのではなく、数あるセリフや資料の中から自分で言葉を選び抜き、組み合わせる事でオリジナルの台本を作るところから始まります。

 

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朗読は2人1組のチームになって行います。チームごとに30秒~2分程度の時間が割り当てられ、その時間内に収まるようにセリフを決めます。この日初めて会う方同士でチームとなったグループがほとんどでしたが、台本作りが始まると早速お互いに相談し合いながら、台本の資料に熱心に目を通していました。チームごと読み上げる内容を決めたところで、今度はチーム同士のバランスを調整します。やなぎみわさんのアドバイスや指示により、セリフの内容が重複していたチームの台本を変えたり、読み手を入れ替えてみたりと、細かな試行錯誤が続きました。午前中のうちに読み上げる内容が少しずつ決まり、一度お昼休憩となりました。

 

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午後14時からは、この日2回目の無人公演が行われました。参加者は自分のセリフが書かれた台本を片手に、マシンの動くタイミングと朗読を合わせるタイミングを、静かに確かめていました。今回は≪タレイア(メインマシン)≫が照射を行っている間の時間が朗読時間となります。約15分間の公演の中で≪タレイア(メインマシン)≫が照射を行うタイミングは複数回あり、それぞれ照射時間も異なります。参加者は自分に割り当てられた部分の照射のタイミングがどこなのかを慎重にチェックしていました。

 

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朗読の練習もそろそろ終盤に差し掛かってきました。ストップウォッチなども利用しながら、読み上げる速さにも気を配ります。やなぎみわさんにより、声の大きさや調子など、演劇に関する専門的なレクチャーも時折挟みながら進められました。何度か全員での通し練習も行われ、セリフの調整などを繰り返しているうちに、あっという間に本番の時間が近づいてきました。

 

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16時からの3回目の無人公演後、特別公演としていよいよ「機械と朗読」の本番が行われました。本番ではマイクを使って朗読をしていただきました。これまでの公演ではあったはずの音響は消され、緊張感漂う静けさの中、参加者の方の目一杯の声がマシンに合わせて響き渡りました。練習時間も短かった中ほとんど一発勝負での朗読本番となりましたが、全員の方が協力して息を合わせ、見事にそれぞれの役を演じ切っていました。最後は、台本に登場する歌をセリフとして選んだ方による、コミカルな曲調の歌で特別公演は幕を下ろしました。シリアスなセリフだけで作るのではなく滑稽さも織り交ぜるなど、やなぎみわさんのアドバイスと参加者の方のアイデアが組み合わさった、大変抽象的で遊び心のある演劇が完成しました。

たった一度きりの正に「特別な公演」となりましたが、今回のワークショップを通じて、やなぎみわさんの作品の世界に深く浸ることが出来たのではないでしょうか。特に演劇や美術を学んでいる方にとっては、滅多にない貴重な機会だったのではないかと思います。「機械と朗読」を見事に演じてくださった参加者の皆様、本当にありがとうございました。

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11/9-10 実技講座「イタリアの空の下~風景と遺跡をエッチングで描こう!」

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11月9日と10日の2日間に渡り「古代への情熱」展関連企画として、実技講座・銅版画「イタリアの空の下~風景と遺跡をエッチングで描こう!」が行われました。本展覧会では、16~18世紀にかけての都市ローマと南イタリアに残る遺産を主題とした数多くの銅版画が出品され、講座ではその出品作品の模写を通して、銅版画の基本やエッチングの技法を学びました。

 

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本講座で講師をお務めいただいたのは、版画家・柳本一英先生です。月に一度、当館実技室をアトリエとして開放している「創作週間」の際にも、銅版画のインストラクターとしていつもお越しいただいています。

 

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最初に、小さいサイズの銅板を使ってデモンストレーションを行いました。エッチングの技法で制作する際の一連の流れについて、実際に使う道具などを用いながらレクチャーをしていただきました。

 

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エッチングの工程は、先ず銅板の表面をグランド(腐食防止液)で薄く覆い、それを乾燥させます。乾いたらニードルなど先の尖った物をペンのように使い、グランドを削り取るように図を描いていきます。グランドを剥がした部分は下の金属が露出するため、そこに腐食液(塩化第二鉄)を作用させると金属の部分だけが腐食されて溝となり、凹版が完成するという仕組みになっています。デモンストレーション後は早速参加者の皆様にも、エッチングの基盤となるグランドを表面に塗る工程をそれぞれ行っていただきました。

 

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グランドを乾燥させている間に、「古代への情熱」展の鑑賞を行いました。本展覧会をご担当された当館学芸員の新田さんより、出品作品についてご解説していただきました。

 

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本展覧会では、18世紀イタリアで活躍したジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージによる版画が数多く出品されました。ピラネージは都市ローマの景観を多く描いた版画家であり、また古代研究家としての一面もあったそうです。今回はピラネージの作品を中心に、その表現技法に焦点を当てご解説していただきました。表現技法の一つとして、平行線や網掛け状の線を複数引いて形や陰影を描く、ハッチングと呼ばれる技法があります。特に空や雲の表現に注目してみると、画家によってハッチングの表現は様々であることに気が付きます。ピラネージの作品は、線と線を交差させず、一方向の平行線を何度も引くことによって描いた表現がとても特徴的だそうです。ピラネージのまるで定規を使って描いたかと思うほどの細密な線表現に、多くの参加者の方が見入っている様子でした。

 

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鑑賞後実技室に戻り、下絵作りからスタートです。今回は模写が基本ということで、予めピックアップした展覧会の出品作品の中から選んでいただきました。2日間で作品をまるごと全て模写するのは大変なので、銅板のサイズに合わせた枠を使い、描きたい一部分をトリミングして作ります。下絵は反転させた状態で描く必要があるため、先ずはトレーシングペーパーに選んだ作品を写し取ります。写したトレーシングペーパーをひっくり返せば、簡単に反転した状態の下絵が完成です。グランドをしっかり乾燥させた銅板上に、カーボン紙を使って反転させた下絵を転写します。

 

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転写が終わった方から、ニードルを使って下絵を描いていきます。ここではグランドを剥がす事が目的となるので、力を込めて銅板を傷付ける必要はありません。外枠のまっすぐな線には、定規を利用します。

 

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中には出品作品の資料と、ご自身でご用意いただいた図を組み合わせて描いている方もいらっしゃいました。どんな作品になるのか楽しみです。

 

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ニードルで絵を描き終えたら、今度は銅板の腐食を行います。エッチングの技法では、人力ではなく腐食液による化学反応を利用して、銅板に溝を作ります。金属が出ている部分は全て腐食してしまうため、グランドを引いていない裏面には、腐食を防止する壁紙(シール)を忘れずに貼ります。この腐食までの工程で、1日目は終了となりました。

 

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2日目からは、いよいよ摺りの工程に入ります。今回は、黒とセピアの2種類のインクをご用意しました。インクは、専用のプレートの上でプレートオイルと混ぜ合わせ、使いやすい固さに調節してから使います。

 

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練ったインクをヘラで銅板に乗せ、溝に入るように馴染ませます。

 

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寒冷紗という粗目の布を使って余計なインクを拭き取り、更に薄い紙を使ってインクを拭き取っていきます。ここでの拭き取り具合によって、摺りの仕上がりは大きく変化するため、とても難しい工程の一つと言えます。

 

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最後はプレス機を使って摺ります。今回のような凹版では、プレス機の圧力によって溝に入ったインクを押し出すことで、紙に摺ることが出来ます。

 

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版と紙をセットする位置が分かりやすいように、ベッドプレート上に油性ペンで印を付けてあります。

 

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摺る紙は予め湿しておき、摺る直前まで乾かないように保管しておきます。印にピッタリ合わせて版と紙をセットしたら、ハンドルを一定の速さで回して摺ります。

 

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インクで汚れないように気を付けながら紙を持ち上げると…綺麗に摺り上がっていました! 時間をかけて描いた作品がどんな仕上がりになっているか、初めて分かる瞬間です。思い通りに摺れていた時には、喜びもひとしおです。

 

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無事摺り終えた後は、片付けも忘れずに。プレス機の表面に付いたインクは、次に摺る時に汚れないよう綺麗に拭き取ります。版の溝に残ったインクは、灯油やホワイトガソリンと言った溶剤を使えば、簡単に落とすことが出来ます。

 

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銅版画の制作は、以上の作業の繰り返しになります。何度も腐食と摺りを繰り返し、納得のいく仕上がりになるまでチャレンジします。初めは一つ一つの工程も慣れていないと難しいですが、2~3回目の摺りからは、スタッフの手助け無しでもどんどん進めている方がほとんどでした。

 

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時には講師の柳本先生のアドバイスにより腐食時間を調整してみたり、インクの拭き取り具合を変えてみたり、参加者の方それぞれの理想に近づくべく試行錯誤が続きました。

 

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そして…遂に作品の完成!最後に完成作品を並べて感想会が行われました。作品を見ていると、まるで18世紀当時のイタリアに迷い込んだような気持ちになります。

 

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腐食時間の長さによって濃淡を調節するのも技法の一つです。これによって遠近感を生み出すことも可能です。

 

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線表現にもそれぞれの個性を感じます。平行線であったり交差させた線であったり、元の作品や描く方によって、捉え方と描き方は様々です。

 

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同じ版でも、インクの色を変えると作品の印象もまた大きく変わります。セピア色はどこか懐かしく、温かい雰囲気になりますね。

 

今回の講座では、イタリアの空の下を散策しているような気分になれる、素敵な作品がたくさん完成いたしました。銅版画やエッチングの基礎を学んだ後改めて当時の作品を見てみると、その技術の高さや奥深さに感動するのではないかと思います。更に銅版画の技法を学んでみたい方やこれから経験してみたいという方は、「創作週間」の柳本先生在室日に是非足を運んでみてください。先ずは一度見学してみたいという方もお待ちしております。詳しくは、静岡県立美術館公式ホームページのイベント一覧より、最新の開催情報をご確認ください。

 

 

 

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9/7・9/8 実技講座「見る・描く・飾る 誰でも気軽に絵を楽しめるアクリル画講座」

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(講座2日目の参加者の作品)

9月7日(土)・9月8日(日)の2日間「熊谷守一 いのちを見つめて」展関連講座として、「見る・描く・飾る 誰でも気軽に絵を楽しめるアクリル画講座」が開催されました。普段絵画にあまり馴染みのない方や、アクリル絵具を使うのが初めての方にも気軽に絵を楽しんでいただける講座として、2日間合わせて20名以上の方にご参加いただきました。

 

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参加者は、「熊谷守一 いのちを見つめて」展を鑑賞した後に色の三原色について学び、花と≪考える人≫レプリカをモチーフにアクリル画に挑戦しました。

 

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今回の講座で講師を担当していただいたのは、静岡県三島市出身の画家、渡辺有葵さんです。

渡辺さんは現在東京を中心に活動をされています。音や香りなど目に見えないものや、海外での取材旅行の体験をきっかけに五感で感じたことを表現するなど、抽象的な絵を中心に描かれています。

 

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講座の初めに、参加者は講師の渡辺さんや美術館スタッフと共に「熊谷守一 いのちを見つめて」展を鑑賞しました。

熊谷守一は、1880(明治13年)年に岐阜県中津川市の裕福な家に生まれ、1900(明治33年)年には東京美術学校に入学、その後首席で卒業する程の腕を持っていました。守一に確かなデッサン力があることは当時の作品からも伺い知ることができますが、ある時期からその作風に変化が見られるようになっていきます。後に「モリカズ様式」と呼ばれるこの独自の画風は、主に赤鉛筆で描かれたくっきりとした輪郭線と、その間を簡明な色彩で埋める描き方が特徴ですが、この描き方が完成されたのは守一が70歳を超えてからのことでした。そして、守一は1956(昭和31年)年に脳卒中の発作を起こしたことがきっかけとなり、外出を控える暮らしを強いられることになります。それ以来、守一は自宅の庭にやってくる動物や鳥、虫、そして草花を多く描くようになりました。守一が“いのち”を見つめて描いたこれらの作品は、単純化された形態の中にもその生き物の特徴が良く捉えられており、その観察力の高さと計算された構図や色彩も相まって、動き出しそうな生命力に溢れています。

講座参加者の方も講師の渡辺さんも、そんな熊谷守一の特徴的な作品を、興味深そうに鑑賞されていました。中でも、赤鉛筆の輪郭を残して絵具を乗せていく手法の繊細さに驚いている方は多かったです。

 

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鑑賞から実技室に戻り、改めて渡辺さんに自己紹介をしていただきました。スライドショーを使って、過去に制作された作品や個展の時の画像を、その時のエピソードなども交えながら紹介していただきました。渡辺さんは、例えば音や花の香りなど目には見えないものや、五感で感じたものからインスピレーションを受けて作品を描くことが多いそうです。過去にはバンジージャンプで飛んだ体験や、ライブペインティングの経験から生まれた作品もあるそうです。2014年の夏にはバックパッカーで1ヶ月間、ドイツのライプツィヒ、ベルリン、ブレーメンを取材旅行し、その時の思いもよらない悔しい経験からインスピレーションを受けて描いた作品は、見事賞を受賞したそうです。ポジティブな出来事だけでなく、時にはマイナスの経験が自分の想像を超えて良い作品に繋がる事もあると、渡辺さんは言います。

 

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さて、鑑賞と講師紹介を経て、いよいよアクリル画制作のスタートです。先ず初めに、渡辺さんより描き方のレクチャーをしていただきました。

テーブルの上に置かれたモチーフのバラの花を見ながら、どういった手順で描いていくのかを、実際にA4サイズの紙に描きながら説明していただきました。最初は鉛筆で、全体の大まかな形を捉えていきます。この時にはまだ細かい形は描こうとはせず、段階を踏みながら徐々に形を追求していくことが大切です。また、この最初の段階で描いた線が、その人の個性や作品の味わいに繋がっていくと言い、今回は敢えて消さずに残しながら描いてほしいとのことでした。

 

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鉛筆の次は、ダーマトグラフと言う色鉛筆に似た画材を使って、輪郭線を追及していきます。ダーマトグラフは、芯に油分が多く含まれているため柔らかく、ガラスや陶器にも描くことが可能な画材です。このダーマトグラフの黄、赤、青(藍)の三原色と黒色を、薄い色から濃い色へと順番に使用することで、少しずつ描きたい物の形を見つけ出していきます。

 

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ダーマトグラフを使ってモチーフの形を描き取ることが出来たら、いよいよアクリル絵具を使って描いていきます。今回使用できるアクリル絵具の色は、ダーマトグラフと同じ三原色と黒のみです。渡辺さんは、作品の色を選ぶ時には、この三原色の比率を意識すると良いと参加者に説明しました。その比率とは、7:2:1で、例えば赤色が7割なら黄色は2割で青は1割、黄色が7割なら青色は2割で赤は1割…といった具合です。渡辺さんによると、多くの名画にはこの色の比率が見られるそうで、熊谷守一の描いた作品にも、この比率で描かれていると思われるものがいくつかあるそうです。

 

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渡辺さんが先ほどダーマトグラフで描いたバラの絵に、更に三原色の比率を意識しながらアクリル絵具でお手本を描いていただきました。渡辺さんのこのお手本では、青が7割、黄色が2割、赤が1割です。この比率さえ守られていれば、画面のどこにどの色を置くかは描く人の自由で良いそうです。あまり考えすぎず、自分の感性のままに描いてみてほしいとのことです。

 

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渡辺さんによるレクチャー後、参加者は早速鉛筆を手に取り、各テーブルに用意されたモチーフのバラか≪考える人≫レプリカを見ながら制作をスタートしました。今回作品を描いていくキャンバスは水彩・アクリル用のキャンバスで、サイズは約30㎝×40㎝です。普段あまり絵を描かない方にとっては、少し大きく感じるサイズかもしれません。

 

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渡辺さんのレクチャーの通り、ダーマトグラフを黄色、赤色、青色(藍色)、そして黒色の順番で使い、自分の描きたい形を少しずつ追求していきます。

 

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全員同じバラがモチーフですが、バラの花全体を描いている方や、花の部分を画面一杯に描く方、また花瓶まで丁寧に描く方もおり、線を描く段階で既にそれぞれの個性が形になって来ていますね。

 

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輪郭線の追及も、青色(藍色)の段階まで来るとかなり形がはっきりとします。

 

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三原色で描いた後に、最後に黒のダーマトグラフで最終的な線を決定します。鉛筆のみのスケッチやデッサンとは違った、色を段階的に分けて描き進める今回の方法を、新鮮に感じる方は多かったと思います。

 

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制作のスピードが速い方は、あっという間に筆を手に取りアクリル絵具で描き始めていました。三原色の比率の中で、最も大きな割合の色から塗り始めます。7割の色から塗ることで、完成していく作品をイメージしながら描きやすいそうです。

 

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色の比率や色を置く場所の他、筆のタッチもその人だけの作品の雰囲気を生み出していきます。

 

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塗り進めていくと、三原色の7:2:1を守りながら描くことが、なかなか難しいことに気が付きます。限られた面積しか塗れない色を画面のどの部分に置くのか試行錯誤しながらも、比率を意識して描くことを参加者の皆さんは楽しんでいる様子でした。

 

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1枚目のキャンバスの作品が、そろそろ完成に近づいてきました。

 

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参加者の皆さんが制作をされている横で、講師の渡辺さんも同じように作品を制作されました。時々参加者の方へのアドバイスも行いながら、渡辺さんはあっという間にキャンバスにバラの絵を描き上げていました。

 

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お昼休憩を挟み、午後からは2枚目のキャンバスの制作もスタートです。

1枚目は色の三原色で描きましたが、2枚目は“二次色”を利用して描きます。二次色とは、三原色を混ぜ合わせて出来る色のことです。赤と黄を混ぜ合わせて出来るオレンジ色、青と黄を混ぜ合わせて出来る緑色、そして赤と青を混ぜ合わせて出来る紫色が二次色になります。2枚目も1枚目と同じ手順を辿りながら、この二次色でモチーフを描いていきます。ダーマトグラフにもオレンジ、緑、紫色があるので、ダーマトグラフの段階ではこの二次色で描いてみても良いし、もう一度三原色で描いても良いということでした。(ダーマトグラフで二次色を使う場合は、オレンジ、緑、紫の順番が良いそうです。)

 

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1枚目をまだ描き終えていない方は午後も引き続き制作を進め、早い方は2枚目に取り掛かり始めます。最後の仕上げの線に使う黒のアクリル絵具は、青色(藍色)と、こげ茶色を各自紙パレットの上で混ぜ合わせて作ります。チューブの状態などで売られている黒色はほとんどが無彩色だそうですが、一方で青色(藍色)と、こげ茶色を混ぜて作る黒色は有彩色になると言い、画面の他の色にも馴染みやすい自然な黒になるそうです。

 

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午前はバラの花、午後は、≪考える人≫レプリカを描いている方が多かったです。渡辺さんも、午後は≪考える人≫レプリカで作品を制作されました。

 

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三原色を混ぜ合わせて作った二次色で描く≪考える人≫は、どこか重量感が感じられます。

 

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バラの花の時と同様に、画面の使い方は参加者によって様々です。≪考える人≫の肩や背中を大きく捉えた構図で描かれた作品は、とても迫力がありますね。1枚目はなかなか手の進まなかった方も、2枚目ではのびのびと勢いに乗って描かれているように感じました。

 

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午後の制作時間もあっという間に過ぎ、講座の最後には、全員の作品を机の上に並べて鑑賞会が行われました。

 

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(講座1日目の参加者の作品)

 

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(講座1日目の参加者の作品)

 

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(講座2日目の参加者の作品)

 

同じモチーフ、同じ条件の元描いていただきましたが、それぞれ個性に溢れた素晴らしい作品が完成したと思います。形の追及をしながら最後はくっきりとした輪郭線で描き、簡明な色彩で表現する今回の描き方は、どこか熊谷守一の描き方に通じる部分がありますね。三原色、又は二次色を7:2:1の比率で描いてみることで、これまでにはない新しい発見があった方もいらっしゃるかもしれません。

 

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(講師渡辺さんによる1日目講座の作品)

 

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(講師渡辺さんによる2日目講座の作品)

 

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さて、今回の講座のタイトルは、「見る・描く・飾る 誰でも気軽に絵を楽しめるアクリル画講座」です。描いた作品はぜひ飾ってみてほしいと、渡辺さんは最後に参加者の皆さんに伝えました。机の上で描いている時と壁に飾ってみた時とでは、作品の印象も変わってくると言います。完成した作品は、ぜひご自宅に飾って楽しんでみてくださいね!

 

作れちゃう 観れちゃう

8/4 わくわくアトリエ「切り絵ワークショップ・見つめて作ろう花と虫」

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8月4日に「熊谷守一 いのちを見つめて」展関連企画として、わくわくアトリエ「切り絵ワークショップ・見つめて作ろう花と虫」が行われました。講師には、静岡県出身の切り絵アーティスト、福井利佐さんをお招きしました。福井さんは、国内外を問わず数多く個展を開催され、講座やワークショップなども精力的に実施されています。当館でも毎年、展覧会の内容に合ったユニークなワークショップのアイデアをいただいており、今年も、切り絵を通して熊谷守一の作品を身近に感じることができる、楽しいワークショップが開催されました。

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はじめに、展覧会担当の泰井学芸員とともに作品を鑑賞しました。当日は親子連れの参加者が多く、熊谷守一の作品を初めて目にする方もいらっしゃいましたが、作家がとりわけ愛したとされる「花」「猫」「鳥」「虫」をモチーフに描かれた作品の前では、その優しい雰囲気に、お子さんと一緒に楽しそうに見入っている姿が見られました。また大人の方からも、この鑑賞時間を経てより深く熊谷守一の世界観に浸れたという声をいただきました。

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実技室に戻り、早速、制作に取りかかりました。まずは、切り絵の技法の基本となるカッターの使い方から練習しました。カッターを使う時は自分のおへその方に向かって刃を進めること、切る方向は必ず一定にして紙を回しながら切り進めること、刃の進行方向に手を置かないこと等々、安全に上手く切るための約束事を教わりました。

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小学校低学年の子どもは、カッターを使用すること自体が初めての経験のため、講師やスタッフ、保護者の方のサポートのもと、使い方を身につけます。最初は上手く出来なくて当たり前ですが、作品が仕上がる頃にはずいぶん上達していることに、毎回驚かされます。

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つづいて、福井さんが用意してくださった「犬」の作品を参考に、作り方を教わりました。今回は、熊谷守一の作風からヒントを得て、くっきりと輪郭線を残すために、モチーフを面でとらえるアイデアをご提案いただきました。輪郭線も「モリカズ様式」に見られる赤茶系の色に統一することで、それらしい作風を目指します。赤茶系の色紙からモチーフを面で大きく切取り、その上にパーツや模様を貼付け、地の色(赤茶の輪郭線)を残すスタイルで制作しました。

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まずはモチーフのスケッチから始めました。通常、作品保護の観点から、美術館内に生き物や生花の持込みは禁止されていますが、この日は、1日限り実技室限定という約束で、スタッフの管理のもと、本物の「花」と「虫」が実技室にやってきました。

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今回の花形モデルは、夏休みといえばのカブトムシ&クワガタムシ。思惑通り、子どもたちに大人気でした。ちなみにワークショップの数週間前からスタッフが自宅に持ち帰り大切に世話をしていたこともあり、当日も元気に活躍してくれました。

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蝉の抜け殻を拾い集めてくれたスタッフ、ひぐらしの標本を持ってきてくれたボランティアさん…身近な夏の生き物が色々集まりました。

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午前の回は女の子が多かったせいか、蝶の標本も大人気でした。図鑑も用意していましたが、やはり本物の存在感には適いませんね。

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熊谷守一の作品に描かれている、ヒマワリやユリの花も用意しました。釣鐘型のオレンジの花(サンダーソニア)は熊谷作品には描かれていませんが、皆さんが好んで作品に取り入れていました。

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スケッチができ次第、輪郭線をマジックで太くなぞっていきます。

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上の画像は、輪郭線を全部なぞり終えたところです。カマキリと太陽でしょうか。夏っぽくて良い感じです。

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たくさんの色紙を前に考え中…。今回、右端の水色と黄土色の色紙は切り絵を貼りつける台紙として用い、赤茶系の色紙は輪郭線を表すのに用いました。福井さんからのオーダーで、色紙も熊谷守一の作風を意識して選びました。

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輪郭線に使いたい色紙が決まったところで、下絵と重ねて絵の外側をカットしていきます。

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切り抜いた蝶より一回り小さいサイズで羽の模様などを貼りつけていくと…

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熊谷守一の作風を感じさせる、素朴で優しい輪郭線が現れました。

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皆さんの作品が出来上がってきました。本物を見ながらスケッチしたこともあり、生き物の表現に動きが見られました。右端のカブトムシの作品なども、斜め横から見ている感じや、足の曲がり方、雰囲気が良く出ていますね。

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画面の中で花と虫を上手に組み合わせて、素敵なシーンを作ってくれたお子さんもいました。

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こちらは午後の回の作品です。なぜか午前の回よりカラフルな虫がたくさん登場しました。今回のワークショップを通して、福井さんが「小さな子どもが作った作品ほど、熊谷守一っぽい雰囲気に仕上がっている」と感想をもらしていました。子どものようなピュアな感性を持っていないと辿り着けない作風なのですね…。皆さんの作品も一点一点に個性が感じられ、とても見ごたえがありました。夏休みの思い出として、ご自宅に飾っていただけたら嬉しいです。そして、このブログを読んで熊谷守一の作品に興味を持った方、ぜひ展覧会にご家族で足をお運びください。身近な動植物が描かれた作品は、小さなお子様と一緒に楽しんでいただけると思います。
※「熊谷守一 いのちを見つめて」展 会期:8/2(金)-9/23(月・祝)

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