2012年03月29日(木) 美術館の独り言
暖かい日も多くなってきましたね。いよいよ春も本番でしょうか。
美術館の敷地内の桜も咲きはじめ、毎朝桜の様子をチェックするのが楽しみです。
ソメイヨシノはまだ蕾ですが、大島桜は今週末満開になりそうです。
桜が咲くと、気持ちもうきうきしてきますね。
ところで、今美術館では、展示室の中でもお花見ができちゃいます!
第7室では、「日本画―春の景―」と題しまして、春にまつわる作品を集めた収蔵品展を行っています。
写真右の作品は、高嵩谷《墨田川春景図屏風》(個人蔵)です。金地の華やかな画面に、まさに「春のうららの隅田川」の様子が描かれています。画面左の作品は、狩野養信《花見遊楽図屏風》(個人蔵)です。手前には咲き誇る桜の花、遠くにはうっすらと富士山が描かれています。
こちらの屏風は、伝雲谷等顔《春夏山水図屏風》(個人蔵)のうち右隻です。金地に桜の白が映え、清らかな美しさがあります。こちらの作品は重要文化財に指定されています。雲谷等顔といえば、毛利輝元から雪舟筆《山水長巻》を貰い受けたことで有名な、桃山時代の画家です。ところでこの作品、もともとは屏風ではなく、襖だったようです。なぜそんなことがわかるの?と思う方もいるかもしれません。画面のだいたい半分くらいの高さのところに、襖の金具が付いていた跡(「引手跡」と言います)があるため、もとは襖であったということがわかるんです。日本画には、襖絵を屏風や掛軸にしたり、あるいは絵巻物を切断し掛軸にしたり、さまざまに形を変えて、現代まで伝えられている作品もあります。作品の過去の姿に思いを馳せても良いかもしれませんね。
さて、展示室内でお花見気分を味わえる「日本画―春の景―」ですが、4月8日までの展示となっています。美術館の周辺で実物の桜も楽しみつつ、美術館の展示室の中では描かれたお花を楽しんでいただければと思います。ぜひ足をお運びください。