作れちゃう

実技講座「ジャポニスム、ふたたび~日本の形~」

本日の実技室プログラムは、実技講座「ジャポニスム、ふたたび」でした!講師には日本画家の森谷明子さんをお招きしました。

ジャポニスム」という言葉、皆さんはご存知でしょうか?「なんとなく聞いたことはあるけど、はっきりとは分からないなあ」という方が多いのではないかと思います。

ジャポニスムとは、19世紀から20世紀初頭にかけて日本の美術工芸品が西洋に大きな影響を与えた現象のことです。

開国を期に日本の文化が西洋に伝わりましたが、浮世絵に代表される日本の美術品を見た西洋の人たちは非常に驚き、多くの画家が強い影響を受けたそうです。

西洋の画家たちを驚かせた日本美術の独自性のひとつが、「デフォルメ」です。今日はその「デフォルメ」に焦点を当てたお話を、森谷先生から伺いました。

「デフォルメ」とは、絵画などにおいて本来のものの形から変化させて表現することです。大げさに描いてみたり、単純な形に置きかえて描いてみたりといったことですね。

日本人は昔から、絵画の中にデフォルメを自然に取り入れてきました。しかしそれは適当に描いていたというわけじゃなく、対象を見た時の、「自分自身の感情」を大切にしてきたのだそうです。

それに対して西洋の絵画では「普遍性」を重視してきたのだそうです。対象をありのままに捉えることが大切だったのですね。

どちらが優れているというわけではなく、それぞれが違った価値観をもっていたと言えますね。

さてさて、前置きが長くなりましたが…。

今日の実技講座では、「ねこじゃらし」をモチーフに水墨画に挑戦しました!森谷先生がとっても立派なねこじゃらしをたくさん持ってきてくれました。

ただねこじゃらしを描くのではありません。

ねこじゃらしをよーく見て、触って、揺らして見て…。とにかくよーくねこじゃらしと触れあいます。

穂先は柔らかい?それともチクチクする?茎はしなやか?それとも硬い?

感じ方は、ひとそれぞれ。自分の感じ方を大切にしながら、いよいよ墨でねこじゃらしを描いていきます。

思わず握りたくなるような柔らかそうなねこじゃらしを描いた方もいれば、触ると手がすぱっと切れてしまいそうな鋭くしなやかなねこじゃらしを描いた方もいらっしゃいます。

同じモチーフを見ていても、感じ方は人それぞれ。そしてそのどれもが正しいのです。

そんなおおらかさを、日本人は昔からもっていたのかもしれませんね。