2018年08月31日(金) 作れちゃう
「安野光雅のふしぎな絵本展」関連ワークショップ第1弾として、つみきのそのさん(つみきアーティスト)による、つみきワークショップが行われました。そのさんは、県内各地で「つみき」をコミュニケーションツールとしたユニークなワークショップを多数開催されています。県美では初めての、そのさんのつみきワークショップでしたが、ママ友間の情報網の力か、募集開始から驚くほど多くのお申込みがありました。
はじめに、参加者の皆さんと一緒に展覧会を鑑賞しました。本展覧会を担当している三谷学芸員から、安野光雅さんや作品についての紹介、つみきのそのさんのご挨拶とつづき、ふしぎのせかいからやってきた、トンガリ帽子のお兄さんも登場しました。
今回のワークショップは、3歳以上の子どもから参加が可能だったこともあり、ご家族そろっての参加がほとんどでした。安野さんの絵本には、子どもが夢中になる魔法があるようで…、お父さんやお母さんが先に進もうとしても、なかなか絵の前から離れない子どもの姿を、何度も目にしました。
展覧会の雰囲気を少し味わったところで、いよいよ実技室でワークショップのはじまりです。そのさん自前の『あいうえおの本』で読み聞かせが始まり、どんどん、そのさんワールドに引き込まれていきます。
最初の遊びは「つみきdeふしぎなドミノ」から始まりました。参加者の皆さんが、実技室をぐるっと囲んで座った状態で、自分の目の前にあるつみきを、隣の人とつながるよにうに並べていきます。次々に並べていくと、あっという間に大きなドミノが出来上がりました。
じゃんけんで一番になった子どもが、そーっと、ドキドキしながら先頭のドミノを倒すと…可愛らしい木の響きとともに無垢のつみきが倒れていきます。固唾をのんで見守る全員の前を通って、最後のしかけに到着!歓声が上がりました。
次の遊びは「つみきのなかに入ってみよう」でした。誰でも、つみきでお城を作ったりしたことはあると思いますが、自分が中に入れるくらいのものを作る機会は、なかなかありません。最初は、円の形につみきを並べるところからスタートしました。
その後はひたすら、一定の規則で、子どもたちにつみきを積んでもらいます。そのさんは、子どもが積んだつみきを、工事現場のマシーンのように、ぐるぐる回りながら整えていきます。
あれよあれよという間に、つみきは子供の身長を超え、今度は大人が高いところにつみきを積み上げました。
出来上がったつみきドームには、そのさんの巧妙なテクニックで入口の穴があけられました。
こどもたちは、本当につみきの中に入れるとわかって大興奮!行列を作って、一組ずつ順番に、つみきのなかのふしぎな世界を堪能しました。
上からのぞいてみると、こんな感じです。つみきのお家はいかがですか?
つみきドームを堪能した後は、ドームをジェンガのように崩して遊びます。いつ崩れるかな。ドキドキ…
ガッシャン!!大きな音をたてて、あっという間につみきドームが崩れました。
たくさんのつみきと、体をめいっぱい使って遊んだところで、今度は、そのさん劇場「つみきむかしばなし」のはじまりはじまり…。三角形のつみきを8個つなげた「はっこさん」を使って、皆さんご存知の昔話『桃太郎』が繰り広げられました。
おじいさんにおばあさん、桃から生まれた桃太郎、いぬ、さる、きじに鬼ヶ島の鬼まで!
8個のつみきが次々とかたちを変えて作られていく様子に、みんながひき込まれ、似てるの似てないのと子どものツッコミも合いの手を打ち、大爆笑の内にそのさん劇場は幕を閉じました。
ワークショップ参加者の方たちにご協力いただいているアンケートには「とにかく楽しかった」「もっとつみき遊びを教えてほしい」といった声が多く見られました。皆さんが、我を忘れてつみきの世界に入り込むという経験に至ったのは、そのさんの人柄や話術の面白さももちろんですが、つみきそのものが持つ特性、多様性を受け入れ、誰もが楽しく、その世界に入りこんで堪能できるという懐の深さゆえかもしれません。子どもも大人も「ふしぎなせかい」に夢中になって見入ってしまう、安野さんが描く作品との共通点を感じずにいられませんでした。