作れちゃう

4/8 創作週間スペシャル「ロダン彫刻でデッサンの基礎を学ぶ」

新年度初講座、創作週間スペシャル「ロダン彫刻でデッサンの基礎を学ぶ」が行われました。
当館では、1年を通して、月に1回(2日間)のペースで「ロダン館デッサン会」を行っています。通常のデッサン会は、指導者を入れず、未経験者も経験者も自由に描き、ロダン彫刻に親しんでいただく機会として実施しています。今回の講座では、アステール総合美術研究所(所在地:静岡県三島市)で美大受験のデッサン指導にあたる、野呂美樹さんをお招きし、素描の基礎についてレクチャーを受けた上で、ロダン彫刻の鉛筆デッサンに取り組んでいただきました。

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はじめに、美術研究所の生徒が描いた参考作品を紹介すると、「わあ…」という声が上がりました。この講座では、美大受験生のようなデッサンを描くことが目標ではありませんが、参考作品を見ることで、普段自分が描いているデッサンとどのような点が違うのか、どうして上手く見えるのか、発見することができます。

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1日目は、デッサンに臨む姿勢、鉛筆の削り方、練り消しゴムや測り棒の使い方といった道具の扱い方とともに、対象の測り方、構図の取り方など、鉛筆デッサンをする上で基本となる内容のレクチャーを受け、各自、自分の描きたい作品の前へ移動してデッサンを開始しました。

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上の写真は、ロダン館展示室2でデッサンを始めた方々の様子です。こちらの部屋には、青年期のロダンの作品や、ロダン以前に活躍した彫刻家の作品が展示されています。毎月のデッサン会でも人気のあるモデル、ジャン=バティスト・カルポー《悲しみの聖母》の周りに、複数のイーゼルが立てられました。このエリアはデッサン会リピーターの方々が中心でしたが、先ほど受けたレクチャーを思い浮かべ…いつもより慎重に、測ったり、構図を考えたりしている姿が印象的でした。

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こちらは、オーギュスト・ロダン《カレーの市民》エリアのデッサン風景です。当館所蔵の《カレーの市民》は、一体ずつ独立しているのが特徴です。人質となり、意気消沈したカレーの英雄の表情、体全体から滲み出す苦悩を、どうすればデッサンで捉えられるのか、描き始める前にじっくりと作品と向き合っていました。

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上の写真の方は《永遠の休息の精》をモチーフに選びました。画面に力強い線で、体の大きな流れを印しているのが見てとれます。時々、作品の横で同じポーズを取ったりしながら、この難しい重心の像をなんとか捉えようとしている姿も見られました。

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画家の《クロード・ロラン》(写真左)や《バスティアン=ルパージュ》(写真右)、奥には《考える人》を描いている方も見えます。これだけ有名な人々(考える人もあえて人に含みます…)をデッサンするというだけでも、貴重な体験ですね。2人の画家の像は、実在した人物ですが、ロダンにとっては2世紀も前の人物です。それを忘れさせるようなエモーショナルな表現を、デッサンでどのように捉えるかが腕の見せ所です。写真手前の2名の女性は、人物像を彷彿とさせるような情感を伴った表情を、大胆な構図で切り取っていました。

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本館からロダン館を繋ぐブリッジギャラリーには、ロダンと同時代、またはそれ以降に活躍した彫刻家の作品が展示されています。A.マイヨール《イルド・フランス》のトルソを、2名の参加者がデッサンしました。優美な裸体像ですが、フォルムとは対照的な要素、硬質なブロンズの黒がデッサンの難易度を高くするようで、黒色の質感に苦戦されている様子でした。

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1日目の終わりに、参加者の皆さんのデッサンを並べ、途中経過の共有をしました。1人でもくもくと進めていると、どうしても越えられない壁が現れるものですが、同じように取り組んでいる方の作品を目にすることで、自分の作品も客観的に見れることがあります。皆さんと同時に描き始めた、インストラクターのデッサンも参考にしつつ、個々の進捗状況や今後の課題を確認し、1日目を終了しました。

2日目は、ガーゼを用いたトーン(モノトーンの色調)の付け方のレクチャーから始まりました。いよいよ、鉛筆の濃淡を駆使して、デッサンを描き込みを開始しました。芸大や美大の試験で求められるデッサンは、1日の内の決められた時間内にデッサンを完成させるというような、非常にタイトな工程ですが、本来のデッサンは、どこまで描き込み、どこで終えるかは、自分と作品との対話の中で決定されるものだと思います。今回の講座に参加された方も、今日までのレクチャーを受けて、十人十色の進め方が見て取れました。この講座の後、「通常のデッサン会で続きを描くよ」と話されていた方もいました。まだまだ途中の段階ですが、皆さんの力作をご紹介いたします。

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Inkeda??a??a?μa?3SPa??a??6_LI上の3作品、ジャン=バティスト・カルポー《悲しみの聖母》のデッサン

Inkeda??a??a?μa?3SPa??a??3_LIオーギュスト・ロダン≪カレーの市民≫ジャン・ド・フィエンヌのデッサン

Inkeda??a??a?μa?3SPa??a??7_LIオーギュスト・ロダン≪カレーの市民≫ユスターシュ・ド・サン=ピエールのデッサン

a??a??a?μa?3SPa??a??i??オーギュスト・ロダン≪カレーの市民≫ジャック・ド・ヴィッサンのデッサン

a??a??a?μa?3SPa??a??2オーギュスト・ロダン≪カレーの市民≫ジャン・デールのデッサン

a??a??a?μa?3SPa??a??11オーギュスト・ロダン≪永遠の休息の精≫のデッサン

Inkeda??a??a?μa?3SPa??a??14_LIオーギュスト・ロダン≪<影>のトルソ≫のデッサン

a??a??a?μa?3SPa??a??8オーギュスト・ロダン≪考える人≫のデッサン

Inkeda??a??a?μa?3SPa??a??9_LIオーギュスト・ロダン≪バスティアン=ルパージュ≫のデッサン

Inkeda??a??a?μa?3SPa??a??10_LIオーギュスト・ロダン≪クロード・ロラン≫のデッサン

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a??a??a?μa?3SPa??a??13上の2作品、Aマイヨール《イルド・フランス》のトルソ、デッサン

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2日目の最後には、お一人ずつの作品を見ながら感想会を行いました。講師対参加者でなく、周りのスタッフも交えつつの感想会は、いつの間にか、一般のお客様もギャラリーとして巻き込み、良い雰囲気の中、2日間のデッサン会を終えました。

デッサンのルールにとらわれず、感性のままに描くというのも有意義な体験ですが、対象の見方、描き方のコツを掴むことで、デッサンはぐんと上達します。自分でも見違えるほどの変化を感じられると、やはり嬉しいものです。2日間、皆さんのデッサンを拝見し、1日目よりも2日目と、作品が充実していく様子が見てとれました。講座を通して色々な気づきや発見があったのではないかと思います。また、今はまだその気づきを上手く絵に反映することが出来なかったとしても、この先のデッサン会の中で、その発見を追求し、自分のものにしていただけたらと思います。