作れちゃう

5/4-5 みんなで!ドット若冲

5/5-4にかけて、毎年恒例の大人気プログラム、「みんなで!ドット若冲」が開催されました。このプログラムは、六曲二双(全十二扇)からなる伊藤若冲≪樹花鳥獣図屏風≫を、毎年一扇ずつ描き、12年目に全てが完成するという壮大なプロジェクトの一貫で、今年でなんと!11年目を迎えます。若冲が作画の際に用いた「マス目描き」の技法を生かし、原寸大よりも大きい7cm角のピースに彩色を施します。最終的には、ピース総数約8000枚、10×5mの巨大な作品に仕上げることが目標です。
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今年は、開館30周年を記念して、≪樹花鳥獣図屏風≫の主役ともいえる「白象」に挑戦!主役でありながら、「白い部分ばっかりだよね…」と恐れられ、後回しにされてきたモチーフです。白の表現にどれだけ幅をもたせられるかが、参加者の皆さんの腕の見せどころです。それでは、完成に至るまでの、2日間にわたる奮闘の様子をご紹介いたします。

【1日目】
若冲人気も相まって、今年度は参加者が多く、東京から泊まりがけでご参加下さったご家族もいらっしゃいました。また、何年も継続して参加をして下さっている方もいらして、幼かった子どもたちが、すっかり大きく、逞しくなっているのを目にするたびに、嬉しい気持ちになりました。実技室ボランティア、スタッフなども入れて、総勢45名がかりでの制作となりました。インストラクターは、昨年度までのマーシー先生から選手交代をし、実技室のリーダー、石津が務めました。
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はじめに、展示室へ本物の≪樹花鳥獣図屏風≫を観に行きました。当館で日本美術を担当している、石上学芸員の解説のもと、マス目描きとはどんな技法で、どのように描かれているのか、よく観察しました。
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GW中、「東西の絶景」展は連日大入りで…作品がなかなか見えない~~
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鑑賞終えたら実技室に戻り、制作グループを割り振ります。今日と明日は、親子も別々のグループで作成します。やんちゃなそうな子も、最初はちょっと不安そう…。
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2日間の流れはこんな感じです。ホワイトボードの隣に佇んでいるのは、実技室のベテランボランティア、朝倉さん(87歳!)。敏腕です。
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いよいよ制作開始!スチレンボードをカットして作った7cm角のピースの裏に、番号をふるところからスタート。なにせ8000枚以上あるピースを並べて展示しますから、全てにナンバリングしないとなりません。低学年の子もはりきって参加してくれますが、数字が飛んじゃったり、逆さまだったりで、なんとも可愛らしいです。
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つづいて、ナンバリングしたピースを並べて、画面を作ります。「白象」の一扇を26パートに分けて、各グループが1パートずつ作成していきます。
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下書きを終えたら、こどもたちの大好きな、絵の具作りの時間です。「こんな色かなぁ、違うなぁ…」と色を足し続け、およそ塗りきれないくらい大量になってしまい、途方に暮れる子もしばしば…。
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見本をよ~く見ながら、色塗り開始!こちらのグループは、白象の「目」の部分を描いているようですね。マス目が良い感じで表現されています。
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ペースが早いグループ、遅いグループ、どうしたって差はありますが、みんなそれぞれにやり方を工夫して、最善の方法を見つけていました。1日目はここまでで作業終了。

 

【2日目】
午前中のうちに色塗りの工程に目途をつけ、午後はいよいよ、エントランスにピースを並べ始めます。最初にふった番号の通り、中心から外側へと並べていきます。どんな風になるんでしょうね、どきどき…
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大人も子どもも、ただひたすらに並べます。真剣ゆえ、逆さまから並べてしまったり、ガイドの棒を取り残してしまったり、ハプニングも起こります。
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だんだん姿が見えてきました…!みんなの気持ちも高揚していくのが伝わってきます。
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そして・・・ついに、完成!!!
最後は天井まで届きそうな昇降機から作品を撮影、「ハイ、若冲!」の掛け声で、皆さんと一緒に写真に収めました。
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当初は、白象の部分は白ばっかりで塗るのもつまらないじゃないか、とか、白ならそもそも塗る必要も無いじゃないか…とか、色々と心配していましたが、そんなことは全く無く、制作したグループそれぞれの、絶妙な「白」が合わさり、個性あふれる「白象」に仕上がりました。また、下10段のエリア(象の足元の辺り)は、4/29-5/3で開催された、「ちょこっとドット若冲」にご参加いただいた方々(約700人)が、1人1枚、ピースを制作をしたものを並べています。こちらは1枚ずつ、作者のサイン入りです!近寄ってご覧ください。貴方が描いた1枚も、きっと見つかります。

「みんなで!ドット若冲」の成果物は、5/5(木)~5/15(日)まで、静岡県立美術館・エントランスに展示中です。この期間は、本物の≪樹花鳥獣図屏風≫の展示期間とも重なります。伊藤若冲生誕300年、県美開館30周年、縁起ものの白象を2頭も見れてしまうという、なんだかすごいこの機会に、ぜひ、美術館へ足をお運び下さい。