2017年06月18日(日) 作れちゃう
6月初頭、現在開催中の展覧会「黄金のファラオと大ピラミッド展」に関連して、こども・親子向けプログラム、わくわくアトリエ「太陽の船をつくろう」が開催されました。
はじめに、本展覧会を担当している新田学芸員より、「太陽の船」についての解説がありました。古代エジプトの墓には、木製の船の模型や実物の船が解体されたかたちで埋葬されていたようで、近年、これらの発掘と復元による調査が行われています。ナイル川とともに生きた古代エジプト人にとって船とは、生活から祭祀に至るまで、重要な役割と意味を持っており、死者が来世で太陽神ラーとともに昼夜天空を駆けるための「太陽の船」も、そういった思想の反映と考えられています。
今回のワークショップでは、この「太陽の船」にちなんで、参加者の皆さんの自由な発想でオリジナルの船を制作していただきました。木材提供は、静岡県下で事業を展開している常木教材株式会社にお願いしました。本展覧会会場に展示されている「太陽の船」の模型は、吉村作治氏の依頼により、常木教材の関連会社でもある、株式会社ウッディージョーが制作しました。(ミニチュア版をショップで販売中です)図らずも共通のご縁をいただき、ピラミッドパワーを感じずにいられません。
それでは早速、「太陽の船」づくりスタート!実技室に用意された、円や立方体、三角形など、色々な形をした木材をボンドで接着して船を形づくります。前回と同様、設計図は用いずに、木材同士を組み合わせることで生まれる形のバリエーションによって、立体を造形する面白さを味わっていただきました。
午前・午後の2回制のため、制作時間は正味1.5時間程度でした。大人の方は慎重なので、すぐには動き出しません。子どもたちは好奇心も相まって、まずは触れてみて、といった印象を受けました。最初は目移りしてしまうものの、見た目と感触で、直観的に必要な形を選んでいく様子に、感心してしまいます。選ぶ形も、一様ではありません。
スプーンみたいな不思議な形の木材をいくつも用意。一体、何に使うのでしょう…?
持ってきた木材をあれこれ色々な方向から組み立てていると、作りたい形や、必要なパーツが見えてきます。形が決まったら木工用ボンドで接着していきます。
丸い形の木材ばかりをくっつけている方もいました。モダンな船になりそうです。
最初は子どもの付添いで来たのに、ついつい一緒になって熱中してまうお父さんやお母さんの姿があちこちで見られ、微笑ましかったです。
集中していると時間が経つのはあっという間です。1.5時間という短い時間でしたが、ほとんどの方が完成に近い形で出来上がりました。全部ご紹介できないのが残念ですが、十人十色の「太陽の船」をご覧ください。
潜水艦のような船。こんな「太陽の船」があっても素敵ですね。設置台もかっこいい!
先に登場した「スプーンみたいな不思議なかたち」は、船のオールに使われていました。船体にオール、予備用のオール、甲板の救命用ボートにもオールが装着されています。とても早く漕げそうです。
こちらの船は櫓×階段のスタイル。どことなく古代の雰囲気が漂っているように感じます…。
幾何学形態の組み合わせが斬新な船。制作台として使用していた椅子のカラフルさも手伝って、モダンアートの水面に浮かんでいるようです。
超大型船が登場。船頭と船尾のデザイン、オールの付け方も秀逸です。
こちらは大人の方の作品です。なんと、飛んでるヘリコプターとヘリポート付き!もはや「太陽の船」ではなさそうですが、素晴らしい出来映えです。
上は、小学校低学年の男の子が作った船です。どっしりと安定した設置台を作るところから、一人でもくもくと、あっという間に仕上げていく様子に感心しました。
こちらは、女の子が作った船です。帽子を被った乗組員や、船上の食事の様子が、なんとも可愛らしいです。
木の色味を生かした、豪華客船のような船。宝箱付きです。本物の「太陽の船」にも、きっと黄金のお宝がたくさん載っていたことでしょう!
今回の木材工作は「太陽の船」というテーマを設けて制作に取り組んでいただきましたが、出来上がってみると、それぞれに個性が光っていました。また、子どもたちには、自分の作った「太陽の船」のストーリーがあり、そのお話を聞かせてもらうのが、なにより楽しかったです。
次のわくわくアトリエは、8/27(日)に実施予定です。シルクスクリーンの技法を用いて、今話題のあの人をプリントする予定です…!詳細は1か月前に静岡県立美術館HP、またはフェイスブックページに掲載いたします。親子でのご参加をお待ちしております。