作れちゃう

9/18 実技講座 切り絵「葵の御紋と平和のしるし」

実技室プログラムのご案内です。

9月18日に、実技講座の切り絵が行われました。
今回の講座では、現在企画展で開催中の 「徳川の平和」を鑑賞し、
江戸時代の作品やその雰囲気に触れていただいたあとに、 葵の御紋を
基にした切り絵の作品を「平和」をテーマにしてつくりました。
今回の切り絵講座も、切り絵アーティストの福井利佐さんにお越しいただきました。

rimg2523

静岡県出身の福井さんは静岡市の徳川家康四百年記念事業でクリエイターとして選出され、
国内外問わず広く活動されています。
静岡にお住まいのかたはきっと徳川家康をテーマにしたポスターなど、
街でご覧になったことがあるのではないでしょうか。

こちらは福井さんが事前にご用意してくださった試作品です。
一富士二鷹三茄子という縁起の良いモチーフが、葵の御紋の形に構成されています。
茄子はこの辺りの名産である折戸茄子です。一般的な茄子よりも丸みのある形です。
今回の講座では、このように葵の御紋をシルエットにして作品を作ります。
それでは福井さんと一緒にどんな作品が出来上がったのか、当日の様子を見てみましょう!

rimg2558

作品の構想を練る前に、まずはカッターで線に沿って紙を切る練習をしました。
普段使わないカッター、直線を切るだけでも力の入れ具合が難しいです。
怪我をしないように注意を払いながら、ゆっくり切っていきます。

rimg2534

練習が終わったあとに、今開催中の「徳川の平和」を見に行きました。
展示を担当した野田麻美学芸員の解説とともに、吉祥のモチーフが描かれている作品や、
今回の展示の見どころなどおさえつつ、作品を通して江戸の空気に触れました。

rimg2539

 

実技室に戻ってから、展示室で見た作品を思いだしながら構想を練ります。
あらかじめ構図を考えてきてくださった方も、展示を見て少し変化を
加えて、さらに良い作品を目指します。

rimg2546

それぞれのモチーフが繋がっていなければ、バラバラになってしまうので、繋がる場所を確認しつつ、
途中で福井さんにアドバイスをいただきながらデザインを決定します。

 

rimg2547

 

そして構図が決まったら、あとはケガに気をつけながらひたすら切ります。
時々作品を持ち上げて、裏返して見ると切れていない場所がわかります。
何回も確認しながらどんどん切って、作品を完成に近づけます。

さてどんな作品が完成したのか、一部をご紹介します!

?? rimg2556

展示室で見た若冲の作品に出てくる動物や松の木などをモチーフに入れていただいたり、
「自分と平和」をテーマに作ってくださったかたもいらっしゃいました。

最後はみんなで鑑賞会です。
それぞれ作品に込めた思いを簡単にお話いただき、福井さんにもコメントをいただきました。

rimg2552

それぞれの思いがしっかり込められた、素敵な作品に仕上がりました。
徳川の江戸時代と自分、一見何の関わりもありそうに見えないかもしれませんが、
みなさんそれぞれ繋がりを見つけていただけたようです。
縁起の良いものが表現されていますので、ぜひ家に飾って楽しんでくださいね!

次回募集予定の実技講座は、11月19日(土)20日(日)です。
次回開催予定の企画展「再発見!ニッポンの立体」の関連ワークショップとして立体作品の制作
をします。 詳細は10月中旬頃にHPや館内配架チラシ等でお知らせします。

 

作れちゃう

9/11 えのぐ開放日

実技室プログラムのご案内です。

本日は、月に一度のえのぐ開放日が開催されました。
お天気に恵まれ、屋外での実施となりました。
今年の十五夜は9月15日(木)ということで、今日のテーマは「十五夜」です。
いつものように、みんなで一緒に準備体操をしてから、身体を使って大きな丸を描いてから、お月様にしました。

rimg2503

形を作ったあとに、手のスタンプで、月に模様をつけます。
離れて見ると、結構リアルに見えたり…☆

rimg2505

そして、うさぎもあちらこちらに!
白いうさぎだけでなく、情熱的な赤いうさぎも登場しました。

?

rimg2506

rimg2507

それぞれ楽しいお月様で会場がいっぱいになりました。

rimg2508

 

【本日の受付状況】-------------------------------

本日は10:00受付の時点で、約180名ほどの方が並ばれました。
先着150名までの方は、午前の回に活動していただきました。
残りの方には、13:15受付の回の整理券をお配りしました。
13:15の回は定員内で活動しました。
次回のえのぐ開放日は、10月30日(日)です。今年度は次回で最後になります。
気温は段々と下がりますが、まだまだ日差しは強いですので
必ず、サンダル・帽子・タオル・飲み物をお持ちください。
受付方法の詳細はこちらをご覧ください。
たくさんの方のご参加をお持ちしています!

 

 

 

 

?

作れちゃう

9/3-4 創作週間スペシャル「リトグラフー石から生まれた版画ー」

静岡県立美術館では、ほぼ毎月1回のペースで、一般の利用者の方々に実技室をアトリエとして開放する、「創作週間」というプログラムを実施しています。創作週間は、水曜~日曜日の5日間に渡り、指定の曜日に、木版画、日本画、銅版画・リトグラフ、の専門的な知識を有する講師が常駐しています。(詳細はリンク先をご確認下さい。http://spmoa.shizuoka.shizuoka.jp/japanese/education_lecture/jitsugi/2016/05.php

今回は、創作週間でインストラクターを務めて下っている、版画家・柳本一英先生による、スペシャルなリトグラフ講座が開催されました。

top
リトグラフという技法の名前は、美術館に展示された作品のキャプション等で時々目にするのではないでしょうか。でも、一体それがどのような技法なのか、いまいちピンときませんよね。リトグラフ(Lithograph:石版印刷)は、平版と呼ばれる版画技法の一種です。石の表面に絵を描き、化学反応の工程を経て、インクの部分(油性)と、余白の部分(水性)とに分けて印刷が可能になる技術です。ますます複雑ですが…、講座の様子を通して工程をご紹介します。

【1日目】

はじめに、展示室で「フランス版画コレクションより」を鑑賞しました。展示室内には、リトグラフの作品だけでなく、銅版画やガラス版画による作品も展示されていたため、それぞれにどのような特徴があるかを、先生の解説とともに見ていただきました。

tenjisitu2
この講座では、伝統的なリトグラフも知っていただくために、柳本先生が石版によるデモンストレーションを行いました。石に描いた線をそのまま写し取れるのが、リトグラフの特徴であり、いちばんの魅力です。クレヨンやリトグラフ用解墨といった油性の描画材を用いて、色々と落書きをしてみました。

rakugaki
新しい作品を制作するためには、石版に描かれた絵を消す必要があります。もう1枚の石板を重ね、磨き粉をふり、版面を削り取ります。最初は石が楽に動きますが、削れてくるにつれ、石版が重たく動きづらくなってきます。すっかり消すには大変な労力を要するということでした。

sekihan

今回は、参加者の皆さんには、石の代わりにアルミ版を用いて制作していただきました。

arumiban

アルミ板に薬剤を塗布し、製面処理をした後に、アラビアゴムで外枠を塗りました。アラビアゴムは親水性ですので、塗ったところは油性のインクをはじきます。つまり余白となる部分で、これから下絵を版に描写していく際の汚れガードの役割も果たします。

arabiagomu
リトグラフは、描いた線がそのまま表現されるという特徴があります。今回はその魅力を感じていただくために、クレヨンという身近な描画材を用いました。参考作品として、古いロシアの絵本の挿絵も見ていただきました。1日目は、下絵をアルミ版に描くところまでで終了しました。

rosiaehon

【2日目】

2日目はいよいよ、複雑な製版作業に入ります。親油性の薬剤と親水性の薬剤を、塗布しては落とすという工程を繰り返すなかで、版のインク部分と余白部分が、親油性と親水性とにきっちり分かたれていきます。目には見えない反応だけに、皆さん、ノートにメモするので必死でした…。

seihan

クレヨンの描画部分も全て落とし、製版用インクに盛り変えます。版は既に親油性と親水性に分かれているため、水を打ちながらインクを乗せると、再び鮮やかな線描が現れます。

seihan2

タルクというストーンパウダーをふりかけ、余分なインクを吸い取り、親水性の薬剤を塗布し、しばし版を寝かせます…。

seihan3

午後からはいよいよ刷りの工程です。ローラーで版にインクを乗せていきます。版にインクを乗せては水を打つという作業を繰り返します。柳本先生は、片手でローラーを楽々持ち上げ、もう片方の手で水を打ちます。いかにも職人さんって感じでカッコイイのですが、初心者にはなかなか出来ません。2人がかりで、お餅つきのような息の合ったプレイが要求されます。

suri-1

なんと、実技室にはリトグラフ用プレス機があるのです。この大きな印刷機を使って、作品を刷っていきます。皆さんちゃんと刷り上がるでしょうか…どきどき。紙をひっくり返すこの瞬間が、版画のいちばんの醍醐味かもしれません。「わぁ!」「あれ~…」色んな声が上がりました。

suri3
無事に全員刷り終えたところで、いちばんお気に入りの一枚をピックアップし、作品発表会を行いました。どの方の作品も、クレヨンで描いた素朴な線が、本当にそのまま表現されていて、あたたかみが感じられました。

happyou
こちらは、本物の絵本の挿絵のような、可愛らしい作品に仕上がりました。動物たちがスタバでひと時を満喫しているシーンを描いたそうです。猫のバリスタも居ますね~。

sutaba
kazenoko
下の作品は解墨を用いてベタ塗りした部分と、線のみで描写した部分の表現が比較出来ます。鏡とおさげの女の子の後ろ姿の作品、線と面のデザインがとっても素敵ですね。髪の色が濃く出すぎてしまったと話されていました。解墨を上手く使いこなすには経験値が必要だそうです。

kaijyuutati
osage
リトグラフがどういった技法か、少しでも伝わったでしょうか?ピカソやマティスといった有名な芸術家の作品にもリトグラフが多く用いられているのは、繊細なタッチをそのまま表現することが出来る版画技法だからなのですね。見慣れない工程の繰り返しで、頭の中がいっぱいになったかと思いますが、ご興味を持たれた方は、ぜひ一度、創作週間へ足をお運びください。次回の創作週間で柳本先生がインストラクターとしていらっしゃる日は、10/9(日)になります。予約やお申込みは不要です。(リトグラフのプレス機を使用する際には、事前予約が必要です)

 

作れちゃう

8/28 ねんど開放日

実技室プログラムのご案内です。

本日は月に一度のねんど開放日でした。
台風が心配でしたが、幸運にもお天気に恵まれて沢山の方々にご参加いただきました。

今回のねんど開放日では、お馴染みのあの恐竜の映画が公開されているせいか、いろいろな恐竜が目立ちました。
家でどんな恐竜をつくろうか考えたり調べてきてくれている家族も見かけました。

RIMG2433

歯までしっかり作られた恐竜、噛まれたら痛そう!

他にもボールを転がして遊べる作品を作ってくれた家族もいました。
工夫次第で、いろんな遊び方ができますね。

RIMG2432

?

 

こちらは橋を作ってくれました。
人もたくさん居ますが、橋の後ろには、イルカやクジラが!
橋を舞台に、楽しい暮らしの一場面を作ってくれました。

RIMG2431

 

【受付状況】

本日は10:00の受付の時点で、約100名ほどの方が並ばれました。
90名のうち80名までは10:00受付の回、残りの方には希望する回の整理券をお渡ししました。
11:00受付の回、13:45受付の回は定員内で活動していただきました。

次回のねんど開放日は9月25日(日)です。
受付方法等の詳細はこちらをご覧ください。

★実技室の中には、貴重品・カメラ・タオル以外のお荷物はお持込いただけませんので、ウェストポーチなどの身に着けられる小さめの入れ物をご準備ください。

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

早いもので、夏休みももう終わり。この頃の空もすっかり秋らしくなりました。
今年の秋も、県立美術館ではワークショップが盛りだくさん!

以下のワークショップは参加者絶賛募集中です。

★9月19日(月祝)わくわくアトリエ 切り絵 御紋でござる!(小学生向け)

★9月18日(日)実技講座 切り絵 葵の御紋と平和のしるし(中学生以上の大人向け)

どちらも講師には、福井利佐さん(切り絵アーティスト)をお招きします。
国内外問わずご活躍の福井さんは、静岡の徳川家康公顕彰400年記念事業のクリエイターとして作品を提供されていて、 街中のポスターや静鉄のラッピング電車でも目にすることができます。
今回どちらの講座も、9月から開催の「徳川の平和」展に関連した内容になっています。
話題のアーティストと一緒に作品制作を楽しんでみませんか?詳細はリンク先をご確認ください。
見て作って、県立美術館で芸術の秋を満喫しましょう♪

作れちゃう

夏休み子どもワークショップPart2.「銅版画 ほめられたこと おこられたこと」

夏休みこどもワークショップPart2の先生には、同じく新収蔵品の作者である重野克明氏をお招きしました。
2日間銅版画のエッチングという技法で、2つの作品をつくりました。
テーマは、「ほめられたこと」と「おこられたこと」。
ほめられて嬉しかったことも、おこられて悲しかったことも、どちらも大切な思い出です。

どんな作品が出来上がったのか、ワークショップの様子を見てみましょう!

RIMG2233

子どもたちにとって、銅版画は未知の技法。
銅版画でつくられた作品とは一体どんなものか…?ということで、
講座の最初は、現在開催中の収蔵品展「フランス版画コレクション」をみんなで観覧しました。

RIMG2234

重野さんもお好きなジャック・カロの作品もありました。
近づいて、細やかな表現を追います。それぞれ、ワークシートにお気に入りの作品のタイトルをメモしました。
戦争の残酷さを描いた作品もありましたが、みなさん熱心に見てくれました。

?RIMG2235

 

 

RIMG2237

部屋帰ってきてから、重野さんの作品を鑑賞しました。
歴史的な著名人を描いたもの、手羽先などやお風呂の場面など…
日常の身近な風景や出来事を作品にしたものや、想像の世界を描いた沢山の作品を目の前にして、
子どもたちから様々な質問が飛び交いました。

 

次に、最近の「ほめられたこと」と「おこられたこと」を文章で書き、
「フレーズ」(タイトルやキーワードのようなもの)を作ります。

今回の先生の重野さんが、この「フレーズ」から絵を描くというやり方をされているので、
子どもたちも同じようなやり方で作品をつくってみました。

RIMG2242

?

フレーズをもとにして、絵を描きます。
あの時、どんな場所で、誰が居たのか、状況を細かく思い出していき、密度を高めました。

絵が完成したら、銅版に転写していきます。

ここから細かい作業が続きます。
休みながら絵を写していきますが、みなさん速いペースで黙々とこなしていました。
出来上がったところで、やっと1日目を終えました。

RIMG2254

 

2日目は、ニードルで転写した絵を描きます。
ゆっくり、丁寧に、ズレないようにニードルをはしらせます。

RIMG2256

 

そして、いよいよ腐食をさせます。
銅を溶かす塩化第二鉄という液の中に、銅版を入れます。
難しい仕組みだと思いますが、
「10円玉入れたらどうなるの!?」と質問があったり、
興味津々に見てくれていました。

RIMG2263

 

そして、お待ちかねの刷りに移ります。
インクを版に詰めていきますが、拭き取り加減が作品の印象を左右させます。

 

RIMG2271

次にプレス機を使って刷っていきます。
2日かけて作った版、どういう風にできあがるのか…みんな真剣な眼差しです。

?RIMG2276

 

RIMG2283

 

試し刷りと本番合わせて計4枚刷りました。
大人でも4枚刷るのは大変ですが、徐々にインクの拭き取りなどコツをつかんで、良いペースで次々と作品ができあがりました。

 

夏子1

夏子2

夏子3

 

夏子4

 

それぞれ味わいのある作品ができあがりました!
このあと、自分のサインも入れてお持ち帰りいただきました。

この「ほめられたこと」「おこられたこと」という最近の一瞬の出来事を?長い時間考えて、一つの形として残すことができました。
きっと大人になってこの作品を見返したときに、ほめられたことや怒られたときの気持ちを鮮明に思い出すことができるのではないでしょうか。
ワークシートにもたくさん自分の考えが書かれています。
どうか作品と一緒に、大切にしてくださいね。