2011年08月31日(水) 作れちゃう
本日もちょこっと木版画体験、実施中!今日も職場体験の中学生が大活躍です。
今日は天候の不安もあってか、来館者は少なめ。しかし熱心に取り組んでいかれる方が多く、充実した一日でした。
この体験のためにご家族で来館された方も!
今日は小学生から20代くらいの若い参加者様も多く、若い方にこうした古典的な美術技法に興味をもっていただけるのは嬉しい限りですね。
体験を終えてお帰りになった後に、「楽しかったです」「ありがとうございました」とメモが残してあって、スタッフ大喜び。こちらこそありがとうございました!
ちょこっと体験は、9/4(日)まで毎日実施しております。天気が不安な週末ですが、ぜひご参加ください!
2011年08月30日(火) 作れちゃう
さぁいよいよ始まりました、ちょこっと体験講座、第3弾!
ちょこっと木版画!
ちょこっと体験とは、美術館に来てくださったお客様に、「ちょこっと」実技体験をしていただき、できあがったものをお持ち帰りいただくという、15分程度のショート講座です。
前回の銅版画、前々回のシルクスクリーンは大好評のうちに終了しました。
今日も午前中から多くのお客様に体験していただきました!
今日は職場体験の中学生がスタッフとしてお客さまに版画の手順などを丁寧に説明してくれました。中学生、覚えがはやい!
「木版画なんて学生ぶりだわ~」という方がおおく、バレンでごしごし摺る感触をみなさん楽しんでいました。
ちょこっと体験は無料で摺り体験(エントランス)、それから100円で自分で版木を彫って、本格的な道具で摺る体験(実技室)と、お客様の熱意(?)に応じられるよう場所をふたつ用意しています。
今日実技室に来てくれたご家族。細かい絵を描きすぎて彫刻刀を使って彫るのに大苦戦!
苦労して彫った版を摺ってみると、思った以上ので出来栄えで、ニコニコ笑顔で帰っていきました。
そんなこどもたちをみると、こちらとしても嬉しい限りです。
ちょこっと木版画、今週日曜日まで開催しております。
予約不要でご参加いただけますので、お気軽にお立ち寄りください!
2011年08月30日(火) 美術品こぼれ話
収蔵品展「彼方からの光」が始まりました。その出展作品をもとに、「こぼれ話」をいくつかお話しましょう。テーマは木枠についてです。皆様がめったにお目にすることはない、絵の裏側の話です。
これは、今井俊満《東方の光》の展示作業の様子です。横幅6メートルもある大作ですので、展示するにも大人8人がかりです(写真には写っていませんが、裏側に3人います)。
ところで、この作品の画面を後ろから支えている木枠ですが、この大きさを考えるととても単純で、簡素なものです。実際、この状態で作品を持ち上げると、木枠の強度が足りないために画面がたわんだり、反ったりしてしまいます。
では、最初からもっと頑丈な木枠にすればいいじゃないかと思いますが、そうするとものすごく重たくなります。重たくなると、作品を運んだり、飾ったりするのが、よりいっそうたいへんになってしまいます。
そこで作家は、ぎりぎりの強度で、かつ取り扱いやすい木枠を考えます。画家は絵を描く前に、まずはどういう木枠で、どういうカンバスを使うのかなど、とても悩みます。絵の具を塗る前から、作品制作は始まっているのです。
もともと、この作品は、1970年の大阪万博のさい、富士グループ館のVIP室に設置された作品です。部屋の壁に貼り付けてしまうことを最初から想定していたとすると、かりに木枠が強くなくても、壁への取り付け金具で全体をしっかり保持できると計算していたのかもしれません。
万博終了後、パヴィリオンは解体され、この作品も取り外されました。本来の居場所を失い、言わば流浪の旅に出たわけですが、輸送、保管と繰り返される中で、木枠にはかなりの負担がかかったことでしょう。ところどころに補強した跡も見られます。それでもなんとか持ちこたえて、画面を守り続けました。そう考えると、この木枠も健気だなと思えてきます。
3年前、この作品は現在の所有者のご厚意で、当館に寄託されました。木枠は、この作品の誕生と経歴を物語っているようです。